宮崎政久議員「沖縄県民が先住民族だと思っている人はいない」発言を勝手に解説する

www.sankei.com

国連の人種差別撤廃委員会が沖縄の住民を「先住民族」と承認するよう求めた見解に対し、木原誠二外務副大臣は「事実上の撤回、修正をするよう働きかけたい」と述べ、政府として対応する考えを示した。 これは自民党の宮崎政久氏(比例九州)の質問に答えたものだが、宮崎議員の質問の中で、
「(日本人に)沖縄県民が先住民族だと思っている人はいない。誠に失礼な話だ。民族分断工作と言ってもよい。放置しないでほしい」
と述べた。

はてなブックマークでは、このニュースに関して、沖縄県民は先住民族とみるのは当たり前だとして、宮崎議員及び自民党を叩く流れに乗るコメントが大半になっている。

しかしこれは「先住民族」の定義に、国連と多数の日本人の感覚が大きくズレている事による偏った反応と考えられる。

国連の「先住民族」の定義と普通の日本人の感覚とのズレ

www.unic.or.jp

国連の「先住民族」についての説明を引用する。

先住民族は世界のもっとも不利な立場に置かれているグループの1つを構成する。国連はこれまでにもましてこの問題を取り上げるようになった。先住民族はまた「最初の住民」、部族民、アボリジニー、オートクトンとも呼ばれる。現在少なくとも5,000の先住民族が存在し、住民の数は3億7,000万人を数え、5大陸の70カ国以上の国々に住んでいる。多くの先住民族は政策決定プロセスから除外され、ぎりぎりの生活を強いられ、搾取され、社会に強制的に同化させられてきた。また自分の権利を主張すると弾圧、拷問、殺害の対象となった。彼らは迫害を恐れてしばしば難民となり、時には自己のアイデンティティを隠し、言語や伝統的な慣習を捨てなければならない。

(太字は僕がした)

沖縄県には知事がいて、その知事は沖縄県民の選挙によって選ばれる。
国政についても(一票の格差の問題はあるが)沖縄県民が不当に差別されている事はない。
「政策決定プロセスから除外」されているとは言えない。

また、「自分の権利を主張すると弾圧、拷問、殺害の対象になる」事もない。
日本では政府を批判しても逮捕される事も、処刑される事もない。
日本人の難民はいないし、言語や伝統的な慣習を捨てる様に強要される事もない。

沖縄には基地が集中しており、負担が集中している事は確かだ。
日本人全体でこの負担を軽減する努力は続けないといけない。

しかし、この事をもって国連の言う「先住民族」への迫害が行われているとはとても言えない。
アメリカ大陸でネイティブアメリカンがその土地を追われた歴史や、中国のチベットやウイグル人自治区への弾圧と同列に扱ってもらっては困る。

この様に国連の「先住民族」の定義は普通の日本人の感覚と大きくかけ離れている。
国連の「先住民族」の定義では、「(日本人に)沖縄県民が先住民族と思う人がいない」という発言に不自然な点は感じられない。

<参考>
一票の格差は47都道府県中で沖縄県は25位(20才以上人口100万人あたりで衆議院小選挙区3.71議席)
1位(最も一票の価値が低い)東京は100万人あたり2.28議席

2013年分、ソースは以下
衆議院小選挙区議席数(一票の格差)【総数順】

余談であるが、現在政府の公式見解として日本には先住民族はアイヌ民族以外に存在しない事になっている。
2008年に衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」を採択しており、これを根拠にアイヌ民族のみが先住民族としている。
しかし、この採択は問題がない訳ではない。
今回は沖縄の話なのでこれ以上書かないが、機会があればまたブログに書こうと思う。

国連自由権規約委員会が日本政府に求めている法改正について

国連自由権規約委員会が求めているものについて、日弁連がまとめたパンフレット(pdfで32ページ)が以下のものである。

[自由権規約委員会は日本政府にどのような改善を求めているのか] http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/kokusai/humanrights_library/treaty/data/liberty_rep6_pam.pdf

先住民族に関する部分を引用する。(22ページ目)

3 先住民族に関する委員会の勧告について(総括所見26項)

今回の委員会の総括所見においては,アイヌ民族を先住民族として認めたことを歓迎する一方で,委員会は,琉球民族についてもアイヌ民族と同様に先住民族と認めること,アイヌ民族と琉球民族に対し,その伝統的土地と自然資源への権利の保障,アイヌ民族や琉球民族に影響を与える施策についての情報提供及び意思決定手続きの関与を求めるとともに,その子どもたちが独自の言語で教育を受けることを促進するよう,法改正を行うことを求めました。

「アイヌ民族と琉球民族に対し、その伝統的土地と自然資源への権利の保障」とはどういう意味か?

なんらかの方法で「琉球民族」(沖縄県民とイコールではない)を認定し、その認定された人たちに特定の土地とその自然資源を占有する事を認める法改正をせよと言っている。
新たな利権を生み出して、誰かにそれを認めよと言っているに等しい。

宮崎議員の言う「民族分断」とはこの事だ。

現在の沖縄県に住む人たちは、その全てが琉球王国に住んでいた人の子孫とは限らないし、他の地域の出身者との結婚も多数ある。
言語・慣習の点で琉球と本土が完全に分離する事などないのだ。

それでもなお、誰が「琉球民族」かを特定し、土地・自然資源を日本国から分けよ、というのがこの勧告の趣旨であって、もしそれが沖縄県民の総意であるなら話は別だが、そうでないなら、
政府は国連自由規約委員会に、この勧告の「撤回を働きかけて」くれないと日本人として大変困るのである。

では、

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